B オブジェクトの入力

このページでは、入力バーからオブジェクトを入力することについて説明します。

(1,2)

(3; 0.5 pi)

P = (3, 4)

のように入力バーに座標を入力すると点が作成されます。2番目のようにセミコロンで区切ると極座標で指定できます。「pi」は組み込みの定数で円周率を表します。また、GeoGebraでは掛け算記号は「*」ですが省略可能です。

点の名前はアルファベット順に大文字で自動的に付きますが、3番目のようにすると名前を指定できます。もし既存の名前を左辺に用いた場合は、その点の定義が新たな入力で置き換えられます。

ベクトル

u = (1,2)

v = (3; 0.5 pi)

w = (3, 4)

u - v

-2 w

v w

のように小文字の名前に代入する形で座標を入力するとベクトルが作成されます。GeoGebraでは大文字だと点、小文字だとベクトルを表す約束です。

ベクトルの和、差、実数倍が計算でき、ベクトルどうしの積は内積になります。

複素数

GeoGebraでは座標平面を複素数平面とみなして複素数を扱えます。

1 + 2i

(3+4i) / (5-6i)

「i」は組み込みの定数で点(0,1)と同等です。既に「i」という名前のオブジェクトが存在する場合は、「i」は虚数単位の意味を失いますが、入力バーの特殊記号メニューから虚数単位を入力できます。

また、2点A、Bに対して「A / B」と入力すると、点を複素数と同一視して複素数の除算が実行されます。

このように複素数と点は同一視してほぼ構いませんが、点どうしの積「A * B」や「A B」はベクトルの内積と解釈されます。点を複素数として解釈させるためには、点のプロパティダイアログの「数式」タブの「座標」メニューから「複素数」を指定する必要があります。

直線・円・2次曲線

y = 2x + 3

x^2 + y^2 = 9

hyp: x^2/4 = y^2/9 + 1

ell: x^2 + 3 y^2 + 3 x y + 4 x - 2y - 5 = 0

直線や2次曲線は、方程式を入力して図形を作成できます。図形の名前はアルファベット小文字で自動的に付きますが、先頭を「名前:」で始めると、任意の名前を付けられます。

陽関数

y = x + 1/x

f(x) = sin(x)

g: y = gamma(x)

直線や2次曲線も含め陽関数は、上のような形式で入力バーに入力でき、グラフが表示されます。利用できる式や組み込み関数についてはの組み込み関数・組み込み定数・組み込み演算子を参照して下さい。

「y = xの式」だと関数の名前はアルファベット小文字で自動的に付きます。「f(x) = xの式」の形式だと関数名が指定できます。先頭を「名前:」で始めて「y = xの式」と続ける形式も可能で、上の例の3番目は「g(x) = gamma(x)」と入力したのと同等です。

媒介変数表示された曲線

また、媒介変数表示された曲線を入力するにはコマンド「Curve」を用います。

Curve[ x座標, y座標, 媒介変数, 媒介変数の最小値, 媒介変数の最大値 ]

例えば、

c = Curve[ cos(t)^3, sin(t)^3, t, 0, 2 pi]

によりアステロイドが作図されます。

関数の値

関数の値を得るには「sin(1)」や「f(2)]のようにします。つまり、関数というオブジェクトは、図形と写像という2つの側面を持っており、点などのオブジェクトとは異質であることに注意が必要です。

媒介変数表示された曲線 c に対して

c(2)

と入力すると、t=2 である点が結果として返ります。つまり、c は点を返す関数です。

数値

k = 1

l = (k + 1) (k - 1)

atan(k)

左辺を省略すると小文字の名前が自動的に付けられます。

数値オブジェクトも新規ツールの出力オブジェクトや入力オブジェクトに指定できます (新規ツールの作成)。例えば、作成した後で頂点の数を変更できる正多角形のツールも定義できます。

数値オブジェクトは作成直後は非表示になっていますが、自由な数値オブジェクトは表示させられます。表示させるとスライダーがグラフィックスビューに現れます。つまり、自由な数値オブジェクトとはスライダーに他なりません。スライダーとアニメーションも参照して下さい。

真偽値とチェックボックス

b = true

c = b && (x < 3)

GeoGebraでは真偽値 true と false が扱えます。自由な真偽値はチェックボックスと同等であり、表示させるとチェックボックスがグラフィックスビューに現れます。

チェックボックスの主な用途として、オブジェクトの表示の動的な制御があります。「表示/非表示のチェックボックス」ツールでチェックボックスを作成するとダイアログが開き、表示の制御をしたいオブジェクトを指定できます。

また、オブジェクトのプロパティダイアログの「上級」タブにある、「オブジェクトの表示の条件」という欄に真偽値を与える式を設定すると、その値によりオブジェクトの表示/非表示を制御できます。真偽値の演算で利用できる演算子についてはの組み込み関数・組み込み定数・組み込み演算子を参照して下さい。

真偽値と数値演算

c = false

n = 100 + 50 c

真偽値変数を、真偽値演算ではなく数値の演算の中で用いると、true は 1、false は 0 と解釈されます。最初の例では、チェックボックス b をチェックすると n が 150 になり、チェックしないと 100 になります。

リスト

L1 = {1, 2, 3}

L2 = L1 + 4

L3 = L1 * L2

L4 = sin(L3)

ブレースで囲むとリストを作成できます。リストの要素には数値の他にも任意のオブジェクトが許されます。

同じ長さのリストどうしの和差積商は、同じ位置にある要素どうしの和差積商により得られるリストになります。リストと数値の和差積商は、各要素との和差積商により得られるリストになります。また、関数の引数にリストを指定すると、各要素に関数を適用して得られるリストになります。従って、上の場合、L3は {5, 12, 21} となり、L4は {-0.96, -0.54, 0.84} となります。

また、GeoGebraで複雑な作図をしたり、プログラムを作成するときは、リスト処理が重要な役割を果たします。GeoGebra実例のD以降に、リストを活用した実例がいくつかあるので、参照して下さい。

行列

M1 = { {1, 2}, {3, 4} }

M2 = M1^-2

(M2 + M3) / M1

M1 * (5,6)

リストのリストは行列として解釈されます。計算可能なサイズであれば和差積が可能で、逆行列が存在すれば割り算もできます。

行列と点の積は、行列のサイズが(2,2)の時に限り計算可能で、結果は1次変換で写した点になります。

また、行列式、逆行列、転置のコマンド(Determinant, Invert, Transpose)があります。